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シン・エヴァンゲリオンのススメ [雑感]

映画館の大きなスクリーンで見ると、構成の迫力を生身をもって体感できます。

岡田斗司夫氏のYouTube動画の解説にて、見にいくつもりになれました。
解説では、この映画を見終わった後にモヤモヤした気持ちになりません。
ちゃんと終わらせてくれています。
これは卒業させてくれるための映画です。との解説に、そうであるならば見てみたいと思い、
動画を見た翌日に映画館へ行ってきました。


岡田氏は、こうも述べました。
音響が良いとか悪いとか、それは2回目に見にいくときに拘れば良いことで
まずは、劇場はどこでもいいから物語を見てください、と。

エヴァの映画を見にいくのに腰が重かったのは、前回のQの、あの後味の悪さでした。
後味が悪いというのは、監督の表現をしたかったことが掴みにくかったということではなく、
絶望感しかない終わらせ方に、映画というものはハッピーエンドで締め括るエンターテイメントだと
そう思っている私の感覚とずれがあったからです。
あの映画で受け取ったメッセージは、この映画を見ているいい歳をした人たち、
いい加減に大人になりなよ、ということです(苦笑)

あの後味の悪い映画をどのように展開させていくのか、想像もつかないものですし
後味の悪さをまた味わいに行くのには、私の好奇心と衝動は不足していました。

どうも私は先行者利益というものには縁遠いようでありますし、
ましてやアーリーアダプターなるような、新し物好きでも無くなったようです。

その私が、岡田氏の解説動画にて「卒業させてくれる結末です」との言葉に、
それならば見てみたいと、安心をして映画館に足を向かわせてもらいました。

エヴァンゲリオンのTV放映の開始時期は、
私が高校生?だった最も病んでいた(文字通り)時期で
毎週、朝に放送される番組を最終回の手前まで、楽しみに見ていた番組でした。
TV版の最終回も、その後の劇場版も、その内容を私には理解することが難しく、
終わらせ方がないようなやり方が、そのようなものなのだろうと、落胆するでもなく
反発するでもなく、無論受け入れられるほどの知識と見識もなく、
シン劇場版の開始まで、過去のアニメ作品のひとつ、というもの以上ではありませんでした。
ではシン劇場版が公開されて見に行ったかというと、序と破はTVで放映されるのを見て、
Qを映画館でリアルタイムに見に行った、というのが私のエヴァとの距離感です。

Qを見た感想は、上記の通り、これを楽しみに見ているようないい歳した人たち、
大人になりなさいよと、主人公シンジの姿を反面教師にさせるような印象を持ちました。
それについては私は賛成でした。
しかし、終わらせ方の絶望感と儚さもない希望に、私の映画に求めているエンターテイメントと
大きく剥離していることが、後味の悪さの要因の一つです。

今回のシン・エヴァンゲリオン3.0は、岡田斗司夫氏の解説通り、卒業をさせてくれる結末でした。

この卒業という解釈が絶妙で、卒業をするということは、その場所から離れるということですが
卒業をするからといって、何が出来上がっているわけでもないでしょう。
むしろ、これからであったり、すでに社会への身の処し方を決めていたり
色々な卒業があるように、この映画を見た感想も人それぞれだというのが言い得て妙です。
どのような感想を持とうが卒業することには違いありません。

私がこの映画において抱いた印象は、子供と大人との対立構造からの卒業でした。

これはQから続く、総監督の物語の構造だと私は考えます。
これを表現するにあたって従来のような、
対立構造を用いて一方を排除する、というやり方ではなく
ヘーゲルの言う「止揚」と言う考え方ではないかと。
おこがましく言えば、自分以外のものへの「思いやり」と「いたわり」と「感謝」。
前劇場版のQの解釈を、そのような価値観を持って今回のキャラクターがしていることに、
先鋭化する資本主義経済社会は、子供の視線から見ると、
大人が社会との帳尻をとっている狡さ、汚さしか見えず絶望感しか抱けないが、
大人と表現をすべきか、自らの視点とは別の視点も持つことができると、
絶望感しかない現実に「優しさ」を見出す理性を作ることができる、と、思いました。

人と社会の対立構造を問題として描いていない。
岡田斗司夫氏のいうオマージュをしながら、監督は何の本質を描こうとしたのか。
それは、対資本主義経済社会と、
何かに対決を強いることで論理(ビジネス)を展開していた時代そのものではなかったか。
などと、私の興味の向く先を前提にしてみると、そのように捉えたくなります。

資本主義経済のシステムが抜かれて残っている社会構造は、
契約、法の論理というのも
人類の歴史の流れから逆算できるものなのでしょう。
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